クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 1st stage
インフォメーション
芸術への深い理解とベートーヴェンへの強い憧憬
~若き巨匠が紡ぎだす、すさまじくも美しい驚異的な音楽
●1st stage 2015年
12/5(土)、 12/9(水)、12/12(土)、12/20(日)
●2nd stage 2016年
4/29(金・祝)、5/5(木・祝)、 5/8(日)、5/12(木)、5/15(日)
※各日、開演30分前よりプレトークあり
公演名 | ALTI芸術劇場 Vol.25&27 クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 |
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日時・プログラム | ●1st stage 2015年 12/5(土) 14:00開演 第10番、第3番、第30番、第23番「熱情」 12/9(水) 19:00開演 第17番「テンペスト」、第13番、第19番、第29番「ハンマークラヴィーア」 12/12(土) 14:00開演 第1番、第14番「月光」、第25番、第28番 12/20(日) 14:00開演 第6番、第15番「田園」、第22番、第31番 ●2nd stage 2016年 ※第14番、第23番、第29番、第31番は1st stageと2nd stageの両方で演奏いたします。 |
会場 | 京都府立府民ホール アルティ |
出演 | クリスチャン・レオッタ |
料金 |
【1回券】 B指定席 一般前売:4,500(アルティメイト優待価格:3,500円) 【4回券(解説本つき)】 B指定席 一般前売:15,000円 (アルティメイト優待価格:12,000円) ※当日500円UP |
チケット取扱 | 京都府立府民ホール 075-441-1414 京都府立文化芸術会館 075-222-1046 チケットぴあ 0570-02-9999 [Pコード:4回券 781-742 1回券 268-281] ローソンチケット 0570-000-777 [Lコード:4回券 55607 1回券 57820] |
チケット発売日 | 〈4回券(解説本つき〉 発売中〈1回券発売日〉 アルティメイト優先発売 10月1日(木)10時より 一般発売 10月3日(土)10時より |
お問合せ | 京都府立府民ホール 075-441-1414 (9時~18時/第1・第3月曜日休館) |
車椅子の方と付き添いの方をご招待!! ※事前申込み
●1st stage 応募締切:10月31日(土)PM6時 ※2nd stage については2016年1月に発表
●希望者はFAXまたはメールにて下記内容を明記しお申込みください。
①希望日 ②希望者氏名 ③ご住所 ④電話番号 ⑤付添者氏名
●お申込み先:京都府立府民ホール”アルティ”
FAX:075-441-6911 Email : hall@alti.org
※応募者多数の場合は抽選とさせていただきます(11月上旬)。応募いただいた方には、当選・落選にかかわらず、ご連絡差し上げます。
※当選者には、クリスチャン・レオッタ演奏会招待券および、タクシーチケット(往復上限2000円分)を一緒にお送りいたします。
送迎は株式会社キャビック様のもと行います。
主催:京都府、イタリア文化会館-大阪、創<(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体>
【京都府舞台芸術振興・次世代体験推進事業】
協賛:国際ソロプチミスト京都-東山
助成:芸術文化振興基金助成事業、公益財団法人ロームミュージックファンデーション
【alti classic selection】
後援:琳派400年記念委員会、朝日新聞京都総局、京都新聞、産経新聞社、
日本経済新聞社大阪本社、毎日新聞京都支局、読売新聞京都総局
協力:株式会社春秋社、株式会社キャビック、株式会社キングインターナショナル
プロフィール
Christian Leotta
クリスチャン・レオッタ(ピアノ)
ロザリン・テューレックには「生まれながらの驚くべき音楽性を身につけたたぐいまれな才能」と、また、カール・ウルリッヒ・シュナーベルからは「古典派、ロマン派の作曲家の指示に対する彼の解釈は素晴らしくかつ完璧であり、彼らの意図を理解している」と評された。
カターニア生まれ。7才よりピアノを始める。ミラノのG.ヴェルディ音楽院のマリオ・パトゥッツィのもとで学んだ後、コモ湖のテオ・リーヴェン国際ピアノ財団及びオクスフォードのテューレックバッハ研究財団で学ぶ。
2002年にはモントリオールにて、若干22才でベートーヴェンのピアノソナタ全32曲を披露するという偉業を成し遂げた。それは60年代にダニエル・バレンボイムが成し遂げた以来の出来事であった。以後、ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲演奏を、13回に渡り欧米の主要都市で披露。この芸術活動により2004年イタリア共和国大統領より功労賞を授けられる。
興業の成功と高い評価をうけ、2007年にはアトマ・クラシック社と全32曲の10枚のCDへの録音に取りかかり、2008年から2011年にかけてシリーズの内19曲のソナタが収められた最初の三部がリリース。国際的にも非常に高い評価をうけ、レオッタ自身「現代の最も優れたベートーヴェン弾きの一人」として評され、CDも「今まで世に出た一連の中で最も卓越した作品」とされた。
2010年にグアダラハラのデゴラド劇場でなされた、ベートーヴェンの5つの協奏曲、および合唱幻想曲の演奏において、新聞紙面では「レオッタは並外れている。激しく抗いがたいリリシズム、奏法と共に押し寄せる熱情」と評される。
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン室内管弦楽団、RAI国立交響楽団、ミラノG.ヴェルディ交響楽団等と世界の主要ホールにて共演。
公演レポート
ALTI芸術劇場 Vol.25
クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 1st stage(全4回公演)
第1回公演:2015 年12月5日(土)
第10番、第3番、第30番、第23番「熱情」
第2回公演:2015 年12月9日(水)
第17番「テンペスト」、第13番、第19番、第29番「ハンマークラヴィーア」
第3回公演:2015 年12月12日(土)
第1番、第14番「月光」、第25番、第28番
第4回公演:2015 年12月20日(日)
第6番、第15番「田園」、第22番、第31番
暖冬の陽気に包まれ、ようやく紅く色付いた紅葉に心躍る12 月5 日(土)、いよいよALTI 芸術劇場vol.25 クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 1st stage(全4 回)が幕を開けました。入り口ホールでは、その幕開けを祝福して、「みやこキッズハーモニー」の皆様からの心温まる合唱のサプライズがお出迎え。合唱の祝福にも見守られてその後の4 回の公演日は全日よいお天気に恵まれました。
そして、各公演前には、大阪音楽大学理事長・教授であり、今回の企画のために「ベートーヴェン 器楽・室内楽の宇宙」を書き下ろされた、中村孝義氏によるプレトークが行われました。まず第1 回目は、「ハイドン、モーツァルトとベートーヴェンを分ける大きな違い」、「少ない作品数が示すベートーヴェンの芸術家、創作家としての意識について」の解説からスタート。第2回目は、「ベートーヴェンと器楽について」。第3回目は「ソナタ形式とは?」。第4回目は「ベートーヴェンのソナタ形式における徹底的な主題の掘り下げ方について」のお話。回を追う毎にベートーヴェンへの理解が深まり、レオッタ氏への音楽への期待も高まる内容に、皆様熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
今回の全曲演奏会にあたり、初期・中期・後期の作品から、また調性(長調、短調)のバランスを吟味し、プログラムを作成されたレオッタ氏。さらには、「ベートーヴェンがどのように彼のスタイルを発展させていったのかが分かるような構成にも配慮しました。」とも。
1st stage で披露された初期作品は、第1番(ヘ短調)、第3番(ハ長調)、第6番(ヘ長調)、第10番(ト長調)、第19番(ト短調)。中村先生のプレトークでは、「ベートーヴェンのピアノソナタは時代を非常に細かく追って作られているため、ベートーヴェンの人生を追うことができる」、「ベートーヴェン自身による演奏を前提に作られているために、その楽曲にはベートーヴェンの語法が刻み込まれている」というお話がありました。このベートーヴェンの初期の作品の中に、すでに後期作品の萌芽が含まれているひとつひとつの「語法」を、レオッタ氏は丁寧に再現していきます。中でも、発見は第3番。正確なタッチによって紡ぎ出される音の響き、テンポの設定、による類い稀な音で主題の多様性を弾き分け、そこに意味を見いだす扉をレオッタ氏は開いてくれました。
中期作品からは、第13 番(変ホ長調)、第14 番「月光」(嬰ハ短調)、第15番「田園」(ニ長調)、第17番「テンペスト」( ニ短調)、第22番(ヘ長調)、第23番「熱情」(ヘ短調)が演奏されました。
この時期の特徴としては、オーケストラ音楽のような大形式において普遍性を獲得していく、という点があげられています。そして、「熱情」「月光」など、名前付きの作品が数多いのも特徴です。第14 番「月光」における低音のピアニッシモ(弱い音)の驚異的な緊張感。第15 番「田園」では、勝手な想像や思い込みを見事に裏切ってくれる強弱の表現の語りかけ。第17 番「テンペスト」でのスタッカートの多様な音色。レオッタ氏の演奏は、そのどれをとっても、聴くということの姿勢を手引きしてくれるかのような、誠実さと豊かさで溢れています。そして、第23番「熱情」におけるフォルティッシモ(強い音)の表現力は圧巻です。深く内面へと向かう姿、甘い感傷の入る隙のない、自己との闘いの激しさが僅かに抑制の効いたテンポの中でより一層際立つ、まさに名演奏。
「ピアニッシモやフォルティッシモというのは、それがどれだけの音量をだすのかを意味するのではなく、感情の特別な強度を表しているのです」、「演奏している間は、楽譜のことは決して考えず意味や感情、そして雰囲気のことに意識を向けています…」というレオッタ氏の言葉はこれらの演奏をまさに裏付けるものです。
後期作品から演奏されたのは、第25 番(ト長調)、第28 番(イ長調)、第29 番「ハンマークラヴィーア」(変ロ長調)、第30番(ホ長調)、第31番(変イ長調)。『外界よりはむしろ内面に向かって眼をむけ、それまでの、いわば挑戦的で雄弁な様式から、冥想的で超絶的な様式への転換が実現した時期』といわれる晩年の創造の時期の作品です。なかでも、レオッタ氏の第29 番「ハンマークラヴィーア」は、思わず目頭の熱くなる名演奏。旋律の響く奇跡的な美しいフォルティッシモは、激しさを伝えるために必要なことは音の大きさではないということを教えてくれます。さらに、第31番においては、ベートーヴェンの求める「至高」と「深淵」が楽章をおっていく時間の中で、いきもののように広がりをみせる特徴を、レオッタ氏は見事に再現。第4 楽章のフーガでは、宗教的な雰囲気を帯びた旋律が、天からの声のように、求める者に対して“ここにいるよ” と語りかけるかのよう。
各公演ともに、終了と同時にホールが大きな拍手で包まれました。鳴り止まぬ拍手に、カーテンコールに応じるレオッタ氏。ほぼ全日、スタンディングオベーションに迎えられて、公演の幕を閉じました。そして、エントランスホールで行われるアンケート抽選会にも、いつにもまして大勢の方の長蛇の列が。今回は特別に、アンケート用紙にレオッタ氏への質問の欄が設けられたこともあり、皆様の書き込みにも熱が入っていた様子。また、12 月12 日(土)からは、レオッタ氏のサイン会も開催され、こちらにも大勢の方が列をなしていました。さらに、最終日には交流会が開催され、中村先生、レオッタ氏への質疑応答では、レオッタ氏の演奏の源流をひもとく貴重なお話をきくことができ、来年開催される2nd stage を心待ちにされる声があちこちから聞かれました。
【番外編】
12 月13 日(日)14 時~は、ワークショップ&マスタークラスが開催されました。公演を聞いて感じた、どうやってあの音が紡ぎ出されているのかという疑問にせまりつつ、同時に、レオッタ氏のベートーヴェンに対する深い理解も伺い知る事ができる貴重な機会となりました。
京都市立芸術大学大学院の大久保理紗さんによって第12 番の第1 楽章が、続いて同大学院の泉麻衣子さんによって第11 番第1 楽章、第2 楽章が演奏された後、演奏への細やかなアドバイスをするレオッタ氏。テンポ、音譜記号の読み取り方、ペダルの使い方などを、楽譜を丁寧に読み解きながら細かくアドバイスをしていきます。中でも印象的な言葉は、「強弱の効果ですが、こういう効果はベートーヴェンが我々にくれたプレゼントなのです、このプレゼントを聴衆と分かち合ってください」。レオッタ氏がどのようなスタンスで演奏に臨んでいるのかが伺いしれる、まさにプレゼントのような言葉です。そして、大久保さん、泉さんが、レオッタ氏の一言一言に反応し、しなやかにその表現を進化させていく様子を目の当たりにするこの機会は、何よりもドラマチックな光景でありました。
【京都市立芸術大学大学院 泉 麻衣子さんの感想】
レオッタ氏は舞台裏にいらっしゃるときから、無意識に緊張していたであろう私にそっと話しかけてくださり、とても優しい方だと感じました。音楽の空気感や音質にこだわった、ダイナミクスの幅広さやその表情や意味についての説明にも共感しました。私の演奏についても非常によく聴いてくださり、自らの演奏も丁寧に見せてくださり、とても勉強になり幸せな時間でした。ベートーヴェンの音楽への愛が益々深まる貴重な体験となりました。ありがとうございました。
ご参加いただいた方々からのメッセージ
- もともとベートーヴェンの曲は、すきだったけど、クリスチャン・レオッタさんのえんそうをきいてもっとすきになった。(10 代未満 男性)
- 曲想を生かしてひいていた。強弱をつけていた。サインをしてくれる。抽選であたる。(10代 女性)
- レオッタ氏の演奏は初めて聴いたが、とても興味深いものでした。一音一音を大事にし、とても思索的な演奏だと感じました。プレトークは30 分ぐらいあっても良かったと思います。(20代 男性)
- ピアノのすぐそばで聞けたこと。なかなかクラシックを身近に聞くことができないのでとてもよかったです。もっともっとイベント(車イスでも行ける)をふやしてほしい。日常を忘れてとてもいいひとときをすごすことができました。(30代 男性)
- 楽譜に対峙する一人の人の気持ちや深さが伝わってきて感動した。(40代 女性)
- プレトークのお話、ソナタ全曲を聴く意義がわかりました。とてもためになりました。(40代 女性)
- とてもきれいな音で、ここから発しているというよりも、どこか世界のむこうからやってきたような音でした。また、こうあるべき、とおしつけられるようなものがなく、それが氏の言われている、作曲家と聴き手をむすびつけるということなのかな、とも思いました。きょうのプログラムは作品番号がすべて素数でしたが、なにか意味するところがあるのでしょうか。(50代 女性)
- 小さい音のつぶ立った響きは格別です。聴いている方の集中力が続かないほどでした。今日もすばらしかった!(50代 女性)
- とてもきれいな音で、ペダルの使い方も勉強になりました。自分が20代の時にポリーニが「ハンマークラヴィーア」ソナタを弾いたのを聴いた時と、自分の聴き方が変化していることに気づいたのも発見でした。(60代 女性)
- 私は日頃ほとんど音楽を聴くことはない。今回初めてベートーヴェンのピアノソナタを4 回聞くことにした。今日までの3 回を聞き、美しい調べだとは思ったが、いまひとつ興味が持てなかった。今日ワークショップを聞き、音楽の奥の深さの一端にふれたように感じた。今日が音楽に興味を持った、私にとって大事な日になった。(70代 男性)
- すばらしいピアニストが現れたと痛感しました。ポリーニの後、彼が世界のピアノ界の王者となる事必定です。(70代 男性)
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クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会 1st stage
アルバム
ALTI芸術劇場vol.25 クリスチャン・レオッタ ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲演奏会